2016.03.29

【喫茶クニタチ】第二回/シュベール国立店

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「変わっていくこと」と「変わらないこと」についてよく考える。

国立駅周辺はここ数年で、がらりと様変わりをした。国立駅高架下に昨年4月に商業施設のnonowa国立EASTがオープンし、更に今年4月には、新たに飲食店をメインにしたnonowa国立WESTが開業する。これからもっとたくさんの新しい風が舞い込み、とても賑やかになっていくことだろう。

その様子を「変わらない」場所ーーシュベールから眺めていたいと思う。階段を上がって、少し重い戸を開ける。駅前ロータリーがよく見える席について、コーヒーを頼む。周囲のテーブルはいつも変わらない談笑にあふれ、年季の入ったテーブルに、馴染み深いカップとソーサーが置かれる。何気なしに裏返された伝票の「シュベール標語」の文字をなぞりながら、コーヒーを啜り、ほっと心地よい安心感に包まれる。


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::: まちで愛され、まちで支えられるお店へ

シュベール国立店は株式会社シュベールが運営、展開する喫茶店のひとつ。1号店の大泉店は今年で50年という節目を迎える。国立に店を構えたのは、およそ30年前。当時一大ムーブメントを巻き起こしていた、山口百恵が国立に住まいを移したことで話題のまちとなっていたときだった。

「本社は練馬にあるけれど、ここで長くお店をやらせていただいているので、国立は本当にもう地元のように感じているんです」そうにこやかに語ってくれたのは、社長の本橋さん。

「働くスタッフも、周辺に暮らして土地に愛着あるひとたちが非常に多く、長く元気に働いてくれて。お客さんも長くここを利用してくださっている方々がとても多いですし、ありがたいなぁという気持ちですね」

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:::変わらない味と空間を求めて

シュベールのコーヒーは自家焙煎。練馬に自社のセントラルキッチンがあり、有機のLCFというコーヒー豆を使い、この40年間、焙煎職人が変わらぬ味を提供し続けている。喫茶店には欠かせない、スパゲッティ、カレーなどの軽食類のソースもセントラルキッチンで丁寧に仕込み、各店舗で使用している。長くシュベールの芯となる部分を作り上げてきたスタッフたちが、今も変わらず携わり、試行錯誤を繰り返しながら日々、味を守り続けている。

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「“シュベールでしか味わえないコーヒーを作る”というのも大事なことですけど、“ひと”を作ってそこでコーヒーを提供し続けるということを、理念のような形で想い続けています」そう語ってくださった本橋社長にそのこだわりをお聞きすると「ひとが作っていくシュベールの空間を提供していくこと」という返答をいただいた。

ほとんどのものは有限であり、永遠に続くものなんてない。すべてのものが日々ものすごい早さで変容していく昨今だ。その目が回りそうな日々の中で、「変わらない空間、変わらない味」がいつも同じ場所で迎えてくれることは、どれだけの人々の安息につながるだろうか。

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:::あなたのまちの喫茶店


「変わらないこと」と「変わっていくこと」についてよく考える。

「最近は味や素材も、前の味に戻そうとしています。はっきりと輪郭のあった昔の味を取り戻そうという取り組みを行っています。今は食の変化も早い時代ですが、だからこそ原点に帰って一つ一つ日々積み重ねていくことが大事なのかな、と最近よく感じます」

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シュベールは“まち”を大事にし、そこに暮らす“ひと”に愛され、長い間変わらずに在ってきた喫茶店だ。だからこそ「変わらない喫茶店」であるための日々の努力を惜しまない。

「国立店に少し前まで、10年近く働いてきた名物女性店長がいたんですよ。その店長は、ちょっと休んだほうがいいんじゃない? と私が心配になる程ここのお店のことが大好きで働いてくれて。辞めてから3〜4年たつのに、今でも常連のお客さんに店長元気? と聞かれるくらいです」

働くスタッフと、常連のお客さんと、店の前を通る人々。これからもずっと、そのすべてのひとたちにとって「わたしのまちの喫茶店」と言える場所で在り続けて欲しい。強く強くそう願う。(ライター:里形美宇/写真:新関淳)

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シュベール 国立店
国立市北1-14 NREビル2F
電話:042-573-0876
営業時間:10時~24時(日・祝日は23時まで)
http://www.shubelu.co.jp/

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