2022.03.15

4/2 ブックトークイベント 国立夜読 第46回

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【ブックガイド部とは】
ブックガイド部は「読書の文脈づくり」をテーマしています。
本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。
それは人も同じ。
独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。
過去の本と今の本
過去の人と今の人
過去のテーマと今のテーマを
ブックガイドという形でつなげていくことが
われわれの活動の目的です。
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今回もオフライン(国立本店)+オンラインで行います。

今回のテーマは江戸期の「学び」についてです。

今回は大阪にあった学問所、懐徳堂について書かれたテツオ・ナジタ著『懐徳堂 』を中心に、江戸期の教育や読書・出版文化に冠する複数の本を取り上げながら江戸の学びについて考えてみたいと思います。


江戸の中期から後期にかけてに大阪にあった懐徳堂は大阪商人によって作られた学校で、もともと儒学者・三宅石庵の私塾としてスタートし、その後大阪の有力商人が石庵を招く形で創設されました。民間でで組織化されたという点で数少ないタイプの学問所で、その後幕府から大阪学問所として公認されました。

当時の大阪は商人と職人が多くを占める土地柄だったため武家中心の社会とは違った形で自由な学問環境が発展したといえます。民間人の経済力が土台になり、自由でフラットな学びの環境と開かれた知のネットワークがどのように形成されたかは今の知を考えるうえでも示唆的です。江戸期の特徴として洋楽や国学など新たな知を担ったのは独自に学問をするフリーランサー的な存在であり、懐徳堂は権威を超え、新しい知を開く起点として大きな存在であったといえます。

貨幣経済が浸透する中、支配層である武士とは異なる形で商人たちも自らのアイデンティティを模索するように学問を深めていきました。懐徳堂は商人が作った学校だったものの、実践的な教育というよりは、洋学なども含んだ幅広い学問的探求が行われる場であり、その自由で活発な校風は富永仲基、山片蟠桃、草間直方といった独自の思想家を生みました。

日本の教育は明治期に入って制度化されましたが、それ以前にも多様な形の教育が行われていました。江戸期の教育は一部、幕府や藩による権威を背景としたものもありましたが、多くは自発的に作られた寺子屋のような実践的な私塾でした。

江戸の学問の中心にいた儒者たちは日本特有の存在といえます。日本は中国のような科挙制度による登用という身分保障がなかったため、儒者は学問による探求が最も重要な目的でした。江戸期には伊藤仁斎や荻生徂徠といった広く影響力を持つ儒学者・思想家が現れましたが、彼らは単なる信奉者を生んだ権威主義的な存在ではなく、日常生活のなかで考えた市井の人でした。さらに彼らの思想を学ぶ者たちも、制度化された知として受け取ったのではなく、各人の追求の中で、仁斎や徂徠の考え方に感銘を受け、集団学習が行われるかたちで彼らの思想が広がっていきました。出版流通も教育の制度化も十分ではない時期に、多くの人々が共通した知識について学び、議論していたことは、驚くべきことであり、その学びに対する強い欲求は非常に興味深いものです。

江戸の私塾・学問文化、出版・読書文化などに興味がある方など、どんな興味でも結構です。お気軽にご参加ください。

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【概要】

日 時:4/2(土)19:30-21:30

場 所:国立本店 or オンライン(ZOOM)

(申込みがあった方に参加URLをお知らせします)

入場料:無料

内 容:本をめぐるお話

参加方法: ページ下の力フォームから

or Facebookイベントページの参加ボタンを押す

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