2022.02.05

2/18 ブックトークイベント 国立夜読 第45回

~本イベントはオフライン@国知本店+オンラインで開催します~
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【ブックガイド部とは】
ブックガイド部は「読書の文脈づくり」をテーマしています。
本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。
それは人も同じ。
独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。
過去の本と今の本
過去の人と今の人
過去のテーマと今のテーマを
ブックガイドという形でつなげていくことが
われわれの活動の目的です。
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今回の夜読では明治の実業家で「日本の資本主義の父」と呼ばれている渋沢栄一を取り上げます。

渋沢は、福沢諭吉に代わって新1万円札に採用されたことが2019年に発表され、大河ドラマ「青天を衝け」の主人公として取り上げられるなど、多くの人に知られる人物となりつつあります。

渋沢栄一は日本の今にも続く多くの大企業の元となる会社を準備し、日本の産業をの立ち上げ期を支え、官と民両方の分野で大きな働きをした人物です。渋沢は政治家ではないものの、明治維新後に日本の中心にいた政治家以上に日本という国のその後の形に決定的な影響を与えたといって過言でありませんが、渋沢が一体何をしたのかを時代の文脈を踏まえて理解するのはなかなかに困難です。

渋沢は徳川の最後の将軍、徳川慶喜に仕え、幕末にパリ万博を訪れた際に、西洋における資本主義が社会に与える良い面、平等に生活が豊かになっていく方法として認識しました。渋沢は明治期に活躍した他の人物同様、西洋の影響を大きく受けた人物でしたが、必ずしも西洋的な知識だけがベースにあるわけではなく、それまでの江戸期までの蓄積、その蓄積の中で成熟してきた考え方にも理解がありました。加えて、留学したフランスでの経験からお金を儲けることの中に自分自身の倫理観を追求することを重ね合わせていくようなところがあり、その点が現在を生きる我々にも興味深く感じられるように思います。

今回取り上げるのはフランス文学者の鹿島茂さんが書いた『渋沢栄一』を取り上げます。
文庫で2分冊、『上 算盤編』と『下 論語編』に分かれていますが主に上巻を中心にお話する予定です。(このイベントは読書会ではないので本を読んでいる必要はありません。読んでいるとより議論に入りやすいかと思います。)

本書が渋沢栄一に関する他の本と大きく違っているのは日本における資本主義勃興期の特徴です。渋沢が「日本の資本主義の父」と言われるとき、後発的な近代化国である日本に欧米の制度を輸入したというイメージが含まれていてますが、事情はそう簡単ではありません。渋沢は日本は当時の状況を踏まえて、何が必要かを見極めた。本書はその点が中心に書かれています。その分析は現在においても「資本主義」とはなにかを考える上で非常に示唆的です。
鹿島さんは19世紀のフランスに詳しく、またそのあり方に対して独自な観点で紹介している本が複数あります。鹿島さんはフランス文学者ですが、単なる文学的な関心というよりは商業や経済を含んだ今につながるフランス文化の考察が魅力です。この本では空想的社会主義者として知られているサン=シモン、その影響を受けたサン=シモン主義者がフランスの資本主義をそれまでのアンシャン・レジーム(旧体制)から脱却し、その思想忠実に守る形で官民一体となって産業を興し、当時資本主義の先端を走っていたイギリスに追いついていく原動力になりました。

渋沢はこのフランスのやり方を学び、日本において商業の拡大を考えて、民間の団体の設立に関わりました。渋沢の仕事でなによりも大きいのは株式会社という形態を日本に定着させたことでしょう。本書では渋沢がなぜ株式会社に強いこだわりを持っていたのかがちょっと謎解き風に書かれています。今回のイベントはそのあたりを中心にお話して、資本主義とは何かについてあらために集まったみなさんと話してみたいと思います。

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【概要】
日 時:2/18(金)19:30-21:30
場 所: オフライン@国立本店&オンライン(ZOOM)
(申込みがあった方に参加URLをお知らせします)
入場料:無料
内 容:本をめぐるお話
参加方法: ページ下の入力フォームから
or Facebookイベントページの参加ボタンを押す
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