2015.03.14

【「ほんの団地」の物件紹介70 妄想団地507号室】

「妄想団地」には、妄想から生まれた「妄想住人」がいる…

◆一色 さわ 32歳 女性 朗読家
507_room

仕事は本を読むこと。これはボランティアの朗読ではない。
クライアントから依頼される本や論文など様々な活字(新聞や週刊誌の類、学術誌、卒業文集、絵本、小説などあらゆる活字媒体)を読んでICレコーダにいれて編集し、クライアントに送る。
基本クライアントに会うことはない。すべてパソコン上のやりとりだ。

さわは通常は自宅の防音室でクライアントリクエストの活字を読んで録音する。
が、稀に公園のベンチで読んで欲しいなどの要望がある時には近くの昭和記念公園に出かける。この場合は料金はかなり割り増しになり日数も加算されるが、料金などは気にしないクライアントが大半なので(そもそもこのような仕事が密かに成り立っていること自体がさわも不思議で仕方ない)いつもより余分に手間がかかることを除けば問題はない。

彼女の仕事の一番重要なポイントは、クライアントの細かい要望に応えることなのだ。

例えば先日のリクエスト本は沢木耕太郎の「深夜特急3」だったが、本を読むにあたりまずは朝の通勤ラッシュの電車に乗った後、新大久保周辺をうろつき新宿歌舞伎町周辺にあるインド料理でカレーとナンを食べてから読んで欲しい。との要望だった。

長時間声を出し神経を使うので、さわは毎日を規則正しい生活を心がけ、部屋の湿度にも気を配り、外出時にはマスクをつける。

仕事時間は9時からで昼休憩を1時間とり夕方4時まで。
その後軽くウォーキング。途中で町の本屋に寄るのを日課にしている。

最近、念願の【パンサーカメレオン】
を手にいれ飼っているため、その主食であるコオロギやセミなどを捕まえに行くこともある。水分や餌を1日3回与えなければいけないので長時間家を空けるのが難しい。また冬場生き餌の入手が難しいのが悩みだ。
家はなるべくシンプルに物をたくさん置かないようにしている。
寝る前に1日の終わりの合図としてラム酒(gosling family reserve)を一杯飲む。

人付き合いは浅く狭くがモットーだ。

>> 妄想住人・生みの親:高橋/ 育ての親(選書):冨田

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