2021.05.08

5/28 ブックトークイベント 国立夜読 第36回 オンライン

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【ブックガイド部とは】
ブックガイド部は「読書の文脈づくり」をテーマしています。
本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。
それは人も同じ。
独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。
過去の本と今の本
過去の人と今の人
過去のテーマと今のテーマを
ブックガイドという形でつなげていくことが
われわれの活動の目的です。
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今回はオンラインイベント(ZOOM)で行います。

取り上げるのは柄谷行人さんの『世界史の構造』です。
いつものスタイルとは違って今回は1冊の本に絞ります。難解な本ですが、全く読んでなくても大体の問題設定と提案が伝わる程度の紹介をするつもりです。
(同じ著書の『世界共和国へ』が岩波新書で手に取りやすく、こちらを読んでいただければ入りやすいと思います)

柄谷行人は日本の文芸批評家、哲学者です。
海外を含めた多くの思想家に影響を与えている柄谷さんですが、スタートは夏目漱石を論じた文芸批評でした。
1969年に漱石論で群像新人文学賞評論部門を受賞してから批評家としての活動を開始します。 1975年にはアメリカのイェール大学からの招聘を受け渡米、日本文学を教えるという経験をしました。帰国後には代表作の一つである『マルクスとの可能性の中心』、1981年に日本文学の性質を論じた『日本近代文学の起源』を出版するとその後は文芸批評は少なくなり、哲学的な著作が多くなりました。
柄谷さんは1990年ごろ、ソ連崩壊以降にマルクスとカントという哲学者について考えるようになったと語っており、その思索は2001年『トランスクリティーク カントとマルクス』という形でまとめました。柄谷さんは本書で理論的に考えたことをベースにNAM(New Associationist Movement)という運動体を立ち上げ、資本と国家への対抗運動を展開しました。『トランスクリティーク』は新たに作られた協同組合型出版社である批評空間から出版されています。地域通貨「Q」を導入するなど、思想を実績的に展開しようとしましたが、NAMは2003年には解散してしまいます。
『世界史の構造』は『トランスクリティーク』に書かれた内容を展開し、大きな視野でまとめられた完成度の高い著作です。
交換形式という観点から国家と資本の関係をトータルに論じ、資本主義の問題とそれを超える倫理について提示した稀有な本です。体系的に書かれた大著であり、かつ部分的な紹介は難しいので3回ほどに分けて『世界史の構造』を読み解いてみたいと思います。

『世界史の構造』は哲学者、カントが『永遠平和のために』で論じたことを現代において再び考えてみるという目的で書かれています。国家間の紛争が常態化した18世紀において、カントが戦争を回避するためのアイディアを書いた「永遠平和のために」は国際連盟や国際連合などの理念を形作る土台となりました。現在、時代の変化のなかで国際連合は存在感が小さくなっていますが、我々は十分に平和で平等な世界に生きているわけではありません。もう一度、大きな時代の流れで国家そして資本主義を考え、カントが考えた倫理的な方向性を考えてみるというのが『世界史の構造』の内容です。

1回目となる今回は全体像を述べた序説、そして人類史における「交換」を論じた第1部と第2部の国家と貨幣に関する部分までお話しようと思います。定住、贈与、互酬、社会契約など、人類学的な知見を参照して、長期に渡る人類の社会性に関する鋭い洞察を含む部分と言えます。

ざっくりした解説になると思いますので、適宜参加者の方に補ってもらいながら進めていくつもりです。

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【概要】
日 時:5/28(金)19:30-21:30
場 所:オンラインイベント(ZOOM)
(申込みがあった方に参加URLをお知らせします)
入場料:無料
内 容:本をめぐるお話
参加方法: ページ下の力フォームから
またはFACEBOOKの参加ボタンを押す
https://www.facebook.com/events/110982824391616/
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