2021.02.07

2/26 ブックトークイベント 国立夜読 第33回 オンライン

※ZOOMを使用するオンラインイベントです ※
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【ブックガイド部とは】
ブックガイド部は「読書の文脈づくり」をテーマしています。
本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。
それは人も同じ。
独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。
過去の本と今の本
過去の人と今の人
過去のテーマと今のテーマを
ブックガイドという形でつなげていくことが
われわれの活動の目的です。
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# 夜読 人類が永遠に続くのではないとしたら

今回の夜読はリクエストを受けたことも考慮し、2020年10月に紹介した文芸評論家・加藤典洋さんの本を取り上げます。

メインで取り上げる本は『人類が永遠に続くのではないとしたら』。この本のテーマは題名にあらわれているように「有限性」です。

先進国において産業化が高速化し、都市化とともに消費文化が花開いた20世紀。そして20世紀から後半から経済的な停滞の兆し、その継続として21世紀の前半を我々は生きています。一部の特権階級だけではなく、多くの人に産業の高度化と経済成長の恩恵が与えられた消費者文化の時代、多くの人々は科学と技術によって無限に拡大していくような錯覚というか夢のようなものを共通して持っていました。それが変化ししていく70年代以降、人類はこのまま無限の拡大を続けることは不可能ではないかという疑いを共有する人々が多くなってきました。象徴的だったのは1972年、世界的なシンクタンクだったローマクラブが出した『成長の限界』です。『成長の限界』は資源を中心とした地球の有限性について論じていますが、他にも経済や産業、科学技術などで多くの人が共通して持続可能な社会を信じられる未来が共有できない事態が一般化しているといえるでしょう。

加藤典洋さんは2011年の東日本大震災時に起こった原発事故をきっかけにして 「有限性」というテーマについて深く考え始めました。加藤さんは文系批評家ということもあるので、政治や経済について論じるということ以上に、人々が社会をどのように認識しているかを扱っています。加藤さんは「戦後の日本」をテーマにした評論家でした。すでに戦後から長い時間を経過し、その間に社会は大きく変化しました。高度成長期にはその時期に特有の内面的問題を個々人が持っていたでしょうが、時代が大きく変化したあとに、人々が社会を認識する方法にどんな違いが生まれてきたのかを示すのが評論家として加藤さんがやろうとしていたことだったろうと思います。『人類が永遠に続くのではないとしたら』では現状認識だけでなく、それを受け入れてその後の世界を生きていくことについて述べられています。

加藤さんは「有限性」を論じるにあたって、社会学者・見田宗介の議論を土台にしています。見田宗介の『現代社会の理論』は上述したような社会の変化をコンパクトにまとめた名著です。その中でもボードリヤールやバタイユといった思想家を参照し、消費に関する無限と有限について、非常に興味深い議論を展開しています。加藤さんも見田宗介のこの考察を大いに参照して議論を展開しています。『人類が永遠に続くのではないとしたら』は非常に多くのトピックが踏まれていますが、今回は主に加藤さんが見田宗介の現代社会の認識とその後を社会の構想について議論した部分に焦点を当ててお話したいと考えています。

この有限な世界を我々はどう認識できるのか、そしてこの社会の行く先をどう考えるのか、短い時間ですが少しだけ大きな話になるかと思います。興味がある方はご参加ください。

【概要】
日 時:2/26(金)19:30-21:30
場 所:オンラインイベント(ZOOM)
(申込みがあった方に参加URLをお知らせします)
入場料:無料
内 容:本をめぐるお話
参加方法: ページ下の力フォームから

 

 

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