2020.11.15

11/27 ブックトークイベント 国立夜読 第30回

※ZOOMを使用するオンラインイベントです ※
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【ブックガイド部とは】
ブックガイド部は「読書の文脈づくり」をテーマしています。
本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。それは人も同じ。独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。
過去の本と今の本、過去の人と今の人、過去のテーマと今のテーマをブックガイドという形でつなげていくことがわれわれの活動の目的です。
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今回のテーマは科学。
科学といっても、物理や生物などの話をするわけではなく、科学の土台となる「客観性」や「理性」をめぐる戦いについての本を巡ってみます。主に科学哲学の論点を簡単に眺めていく回になりそうです。


メインとなる本は『なぜ科学を語ってすれ違うのか』。


この本は「ソーカル事件」という科学に関する一つの重要な事件を巡りつつ、科学哲学の歴史的な流れを紹介する本です。
ソーカル事件は物理学者のアラン・ソーカルがソーシャル・テクストという学術誌に無意味な論文を投稿し、そしてそれが実際に掲載されてしまった、という事件です。ソーシャル・テクストは人文科学系の学術誌で、「現実は社会的に作られたもの」という観点の根ざし、従来の知的権力の土台を揺るがそうとする進歩主義的な傾向を持っていました。ソーシャルテクストに掲載される論文のなかには、独特のレトリックを使いながら、科学の営みそのものを否定するような傾向を持つものがありました。ソーカルはその議論の無意味さを証明するため、同じようなレトリックを使いながらデタラメな文章をでっちあげ、それを論文として投稿したところ、 それが実際に掲載されるに至ったのです。
ソーカル事件とそこから広がった論争はまさに「サイエンス・ウォーズ」と言えるでしょう。この事件自体はやや込み入ったところがありますが、科学的真実に対する批判というのは、意外に身近なテーマかもしれません。科学的な方法は、一部の事実に対して厳密な把握を可能にしますが、そもそも我々が生きる世界全体を説明するようなものではそもそもありません。であるがゆえに「科学」を大上段に掲げる人の中には、それが絶対の真実であると思い込み、むやみに拡大、社会的適用を急ぐさまが見られます。科学にはそれが疑いのない権威になってしまったとき、本来科学の土台となる反証可能性が失われ、だれも批判ができなくなるという怖さもあります。そういったときにはやはりそれを批判するような知的土台としての人文知は大切。かといって行き過ぎは問題、ソーカル事件にはそんな背景もあるのです。
現在はある意味では「科学的」といわれる情報に溢れています。
大事なのは知的に信頼できる土台を作ることですが、我々の周りにあるカジュアルな「科学」にはもはやそのような力はないのかもしれません。
であるならば、観念的なレトリックに振り回されず、客観的な事実から理性的な判断を導き出すためにはどうすればよいのか?
科学的真実を巡ってはさまざまな考えが提出され、さまざまな対立が生まれました。 まさに「科学を語ってすれ違ってきた」のです。
その多くは「科学哲学」という分野としてまとめることができる、それが『なぜ科学を語ってすれ違うのか』の骨子です。
面倒であれ、このような紆余曲折につきあってみることでしか「科学とは何か」という問いに答えることはできないのでしょう。
限られた時間のなかではありますが、いくつかの論争を紹介しつつ、科学について参加者と話してみようと思います。
【概要】
日 時:11/27(金)19:30-21:30
場 所:オンラインイベント(ZOOM)
(申込みがあった方に参加URLをお知らせします)
入場料:無料
内 容:本をめぐるお話
参加方法: ページ下の力フォームから

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