2015.09.22

「セプテンバー・ブック」開催レポート

september

さる9月21日、国立本店では「セプテンバー・ブック」を催しました。

アメリカのファンクバンド、Earth, Wind & Fireの代表曲「September」の冒頭に出てくる
「君は覚えてるかい?9月21日の夜を」
という印象的なフレーズになぞらえた読書イベントです。

歌詞を読んでもその日に何があったのか具体的にはわかりません。
とても曖昧な内容です。
にも関わらず日にちだけは「9月21日の夜」とやけにハッキリと特定する。
そのアンバランスな描写がこの歌の魅力です。

9月21日はいったいどんな忘れられない日だったんでしょう。
想像はふくらみますが、答えは出ません。
だったらいっそ、国立本店で忘れられない9月21日を勝手に作ってしまおうか?
というのが今回の「セプテンバー・ブック」をやろうと思ったきっかけです。

9月21日にひとり1冊「忘れられない本」を持ち寄って集まる。
その本がどう忘れられないのかを語り合う。
全員が語り終わったら持ち寄った本をシャッフルして、借りて帰る。
以上が「セプテンバー・ブック」の概要です。

「September」の後半で主人公は「Now, December!」と歌います。
つまり、9月21日のできごとを12月に思い出している歌なのです。
なので「セプテンバー・ブック」の参加者は12月にふたたび集って、
「君は覚えてるかい?9月21日の夜に借りた本を」
という歌い出しから始まり
借り合った本の感想を語り合う。・・・・予定です。

・・・・と、ややロマンチックに書いてみましたが、
実際に行われた「セプテンバー・ブック」は非常にほのぼのした会となりました。
いつもドイツ亭(国立市内にあるピザ屋さん)を頼む本店にしては珍しく
「なんかアメリカンだから」という理由でドミノピザを注文。
ビールにピザにサッポロポテトBBQ味(なんかアメリカンだから)をつまみながら
お互いの「忘れられない本」を紹介しあいました。

「忘れられない」とひと口に言っても色々ありますね。
今回「セプテンバー・ブック」に集まったメンバーも「忘れられない」の捉え方が全員違いました。
下に参加者の持ち寄った本をご紹介します。

実際に生でEarth, Wind & Fireを観た時代に読んだ、思い出深い雑誌。(リンク先は書籍)
淀川長治の遺言

昔、読書家の男性に「この小説読んだ?」と聞いたら「女性の書いた本は読まない主義だ」と返ってきた。そんな忘れられないエピソードが残った小説。
大地 パール・バック
カーリルで開く

忘れられないというよりも忘れちゃいけないと感じた、仕事への想いを描いたマンガ。
百花日和 埜納タオ
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子供の頃なにげなく読んだのに、知らない内に自分の人生に大きく影響している小説。
クヌルプ ヘルマン・ヘッセ
カーリルで開く

普段小説を読み返すことはないけれど珍しく2度読んだ、今の自分にしっくりくる等身大の小説。
虹色と幸運 柴崎友香
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カタい報告書類も連絡メールも、小説や映画をつくるように書くものかもしれない。今の仕事のスタンスに繋がるヒントをくれた、ミステリ小説のような評論集。
小説から遠く離れて 蓮實重彦

カーリルで開く


最後は全員の本を「September」の曲に合わせてプレゼント交換会のようにぐるぐる回します。
曲が終わったと同時に手元にあった本が借りていく本です。
皆さん、自分にあたった本をしげしげと眺めていました。

借りられた「忘れられない本」はまた誰かの「忘れられない本」になるかもしれません。
でもきっとその時生まれた「忘れられない」は、元の持ち主の「忘れられない」とはまた全然違った「忘れられない」になるんでしょうね。
「September」の9月21日に何があったかはっきり分からないように、1冊の本に何を思うかは読んだ人にしか分かりません。
9月21日に借りた本に何が去来したかは、12月に再会するまでのお楽しみです!

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