2015.03.14

【「ほんの団地」の物件紹介50 妄想団地303号室】

「妄想団地」には、妄想から生まれた「妄想住人」がいる…

◆西方三角 36歳 男性 引きこもり
303_room

休職中・引きこもり。長野県出身。
元書店員。マイナーでも気になる本のジャケ買いをするが、本業の反動もあって手に入れた本を本棚に入れた瞬間に満足してしまい、ほとんど読んでいない。1年前に新たな転属先のお店で店長見習いとなり意気込むが、パートのおばちゃんたちが言うことを聞いてくれずに落ち込む。疲れてフェードアウト。もともとテレビの一話完結の二時間ドラマが大好き。ただ、東京生活に挫折して田舎に帰っていく准主人公的なポジションの人物が9割近い確立で長野県出身者であることが腑に落ちないと思っていたので、田舎には意地でも引き上げず、社会へのリベンジを誓っている。引きこもりといいつつ、土曜の満月の夜だけは狼ではなくネズミとなり(ネズミが有名レストランを切り盛りするアニメの影響を受けた)下北沢駅北口に本を並べ、料理を題材にした小説を朗読(かつてそこは「北斗の拳」とかを読んでいた東方力丸氏のテリトリーだったが、駅改装以来どこかに行ってしまった。日曜の午前には井の頭公園にいるらしい)、いつしか“彼が語る料理はとても美味しそうだ”と評判を呼び、世界の三ツ星シェフがお忍びでその妙技?を聞きにくる。投げ銭だが収入もサラリーマンの平均を超える。しかし自らのパフォーマンスで作った料理(妄想)を食べているためお腹はいっぱい!でお金はたまるばかり。外を眺めていた時に偶然見かけた204号室の牧田あかり嬢に、ほのかな恋心を抱いている。先日、米澤穂信「シャルロットだけはぼくのもの」を読んでいるところを遠巻きに、でも笑顔で見ていてくれていた彼女に気づき心臓のドキドキは高鳴るばかり。だが彼女の方はもちろん同じマンションの住人だとは知る由もない。そして二人が実は同郷で中学の担任が一緒だということが分かるのは、一年後のことだ。

>> 妄想住人・生みの親:今井/ 育ての親(選書):西

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です