2021.09.07

9/24 ブックトークイベント 国立夜読 第40回 オンライン

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【ブックガイド部とは】
ブックガイド部は「読書の文脈づくり」をテーマしています。
本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。
それは人も同じ。
独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。
過去の本と今の本
過去の人と今の人
過去のテーマと今のテーマを
ブックガイドという形でつなげていくことが
われわれの活動の目的です。
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前回に引き続き、今回も柳田国男を取り上げます。2回に分けての開催の後半部です。

前回は柳田国男の半生を説明しつつ、柳田が幼少期、文学者として活動した学生時代、農政学を学び農政官僚になっていくプロセスの中でどのように関心が移っていたのかをいくつかの本の解釈を交えてお話しました。柳田国男は日本の民俗学を創始者で、『遠野物語』に代表される、怪異譚のような伝承を収集する仕事の印象が強いですが、柳田が意図した民俗は単なる伝承の収集ではなく、より普遍的なものに近づこうとする態度があったことを述べました。
そんな柳田国男の文学者、農政官僚、民俗学者といった多様な側面についてお話ししましたが、参加者の方々との対話から、柳田国男の仕事の多様さを理解すると柳田国男という人物は本当は何をやりたかったのか、その全体像が気になってくるというような話になりました。前半も後半も、柳田国男は一貫した関心において、活動を続けてきたことを強調したかったので、後半では柳田が民俗学の活動において意図したことの本質部分について考えていきたいと思います。

柳田国男の著作および柳田ついて書かれた多くの著作を読んでいると、柳田は日本における「公共性の成立」に興味を持ち続け、上からの統治ではない住民の自治の可能性を考えたことがわかってきます。柳田の読書範囲は広く、新渡戸稲造に請われて国際連盟で働くなど世界情勢にも深い理解がありました。柳田は当時の経済状況を踏まえ、国民全体の経済を考える時代から、国家競争の時代へ移っていることを理解し、それを反映するように日本においても輸出産業中心、都市中心の政策が基軸となっていることに批判的でした。柳田はそのような状況において地方の農村が衰退していくことを危惧し、別のあり方を模索していたと言えます。柳田が民俗学という学問を立ち上げたことと、当時の日本の経済的な状況には大きな関係があります。前回紹介した『明治大正史世相篇』の中でも、都市的消費文化が農村へと普及して、農村の生活文化が大きく変化している様子について書かれていました。

今回も主として取り上げるのは『明治大正史世相篇』です。
本書は柳田は1919年に官僚を辞め、スイス・ジュネーブで国際連盟委任統治委員としての活動の後、関東大震災を一つのきっかけにして、日本民俗学の立ち上げに向かって取り組みを進める過程で作られた本です。朝日新聞社が1930年から刊行された叢書、『明治大正史』の一部として書かれたもので、当時、明治大正に一般の人々の生活がどのように変化したかを専門領域では論じられていなかったところ、ジャーナリズムの方面から、まとめていくことを意図して作られました。前回は明治・大正期における生活の変化、そしてそれに伴う人々の内面の変化について、『明治大正史世相篇』からいくつかのトピックを拾って紹介しました。

今回は『明治大正世相篇』の後半部を紹介し、明治大正、そして現在を生きる私たちにとっての「世相」と「公共性」、また我々が生きる現在の状況とのつながりについて色々話し合ってみたいと思います。

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【概要】
日 時:9/24(金)19:30-21:30
場 所:オンラインイベント(ZOOM)
(申込みがあった方に参加URLをお知らせします)
入場料:無料
内 容:本をめぐるお話
参加方法: ページ下の力フォームから
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