2020.07.07

7/17 ブックトークイベント 国立夜読 第26回

20200717_HP ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ブックガイド部とは】 ブックガイド部は「読書の文脈づくり」をテーマしています。 本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。 それは人も同じ。 独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。 過去の本と今の本 過去の人と今の人 過去のテーマと今のテーマを ブックガイドという形でつなげていくことが われわれの活動の目的です。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ さまざまテーマで本を紹介している国立夜読、コロナ影響下で長らくお休みしていましたが、7月から再開します。換気などを対策を考えながら実施しますので、マスク着用のうえご参加ください。 もともと密になるほど参加者が来ることはほぼないので、マスク着用、適度に換気を行いながら国立本店で集まってお話します。 今回のテーマは「読書」です。 今回は一冊の本を取り上げ、その内容を紹介しながら他の本もいくつか紹介するというスタイルで進めます。メインで取り上げる一冊はメアリアン・ウルフ著の『プルーストとイカ』という本です。 本書は読書好きの著名人に絶賛されたこともあり、一部ではよく知られた本ですが、なかななかに特殊な本で、広くは読まれてないかと感じています。この本は読書を神経科学的な観点から論じた本ですが、一方でディスレクシア、すなわち「失読症」について書かれた本でもあります。「失読症」は学習障害の一種で、一般の人と理解力に差はないけれど、読み書き能力が著しく低いという症状です。エジソン、ダヴィンチ、アインシュタインなど、特殊で高度な才能を見せた人物に「失読症」の症状があったことから失読症が単なる障害とはいい難いところがあります。 読むという行為は誰にでも自然にできるようですが、何も訓練せずに読み書きができるようになる人はほぼいないでしょう。そういう意味では「本を読む」という行為はなんらかしらの訓練を経て獲得される能力なのです。著者は自身の子どもが失読症で、かつ家系的に失読症が多く見られるということから、強い関心を持って失読症の謎に挑んできたようです。そんな背景もあってか、本書には読書によって生まれる豊かで複雑な体験について、科学的な分析を踏まえつつ、控えめながら味わい深い賛美の言葉が綴られています。 『プルーストとイカ』の著者にはもう一つ大きな興味があります。それは「ネットリテラシーの進展によって何が失われるのか」というテーマです。ネットと触れることでどういう影響があるのかを実証的に明らかにすることは困難ですが、「読書する能力」、ひいては「読書がもたらしてくる豊かな感覚」を神経科学的な理解を深めると、ネットをめぐる認知に関して見えてくるものがあります。 インターネットがもたらしてくれる豊かな世界に驚き、日々をネットの世界に埋め込むような生活のち、古典的な長編小説などが読めなくなったと感じる人もいるかもしれません。メリットも大きいインターネット世界、そして明確な答えが出ないネットリテラシー問題ですが、自分の実感と照らし合わせて今後のインターネットの付き合い方の参考にしてもらうのも良いかもしれません。 『プルートとイカ』の題名にあるプルーストは『失われた時を求めて』で有名な、象徴的作家です。小説『失われた時を求めて』はある一人の人物が様々な記憶を思い出すというスタイルで書かれており、一見バラバラに見える記憶が重層的に重なっていく大長編です。この小説のスタイル自体と中にある記憶と知覚に満ちた表現は読書と深い関係にあるように思えます。小説として独特なスタイルを選択したプルーストにも読書という体験について深い思索があったようで、その断片が『プルーストとイカ』で紹介されています。読書は著者が与えてくれているものではなく、その先に自分で生み出すことものを得るために行うとプルーストは考えたようでした。プルーストは「著者の英知の終わりであるものは、私たちの英知の始まりであるように思われる」という記述を残しており、この言葉は『プルーストとイカ』の内容をよく表していると言えるでしょう。 読書についてリアルな場所で久しぶりにお話しできることを楽しみにしています。 【概要】 日 時:7/17(金)19:30-21:30 場 所:国立本店 入場料:無料 内 容:本をめぐるお話 参加方法:FACEBOOKイベントページの参加ボタンを押す。 このページの下の入力フォームから
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