2019.11.02

11/22 ブックトークイベント 国立夜読 第22回

 

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今回の夜読は「貨幣」をテーマに本を紹介します。

貨幣といっても経済の話をするわけではありません。
むしろ我々がイメージする貨幣はあまりにも経済と密接に関わっているために、実は意識することのないお金の性質について考えたいと思っています。

ありふれた存在である貨幣、現代はあまりに貨幣中心の生活になっていて、昔に比べて一体何が変わったのかはイメージすることすら困難です。
貨幣はあくまでも道具。自由な交換による市場を支える貨幣は、重要ではあるものの、存在を気にかけることのない無機質な媒体のように感じられます。しかし経済あるいは市場は人間の欲望と密接に関係しています。それを考えると経済・市場・貨幣と文化・生活とを分けることは本来不自然なことではないでしょうか。

今回主に取り上げる本は今村仁司さんの『貨幣とは何だろうか』です。そのものズバリのタイトルのこの本は、まさに「経済(学)における貨幣」とは異なる側面から貨幣について考えた本です。
今村さんは近代という時代の特徴を暴力や労働という観点から考察し続けた社会哲学者です。西洋現代思想の紹介者として翻訳なども多い今村さんでしたが、一貫して今を生きる我々がどのような”関係性”を生きているのか、なによってその”関係性”が作られているのかを分析し、有り得べき共同性について探求した人でした。

本書は社会学者ゲオルグ・ジンメルの貨幣論を下敷きに、媒介としての貨幣がもつ文化形成力と、その広がりについて議論を展開しています。なぜ空虚な媒介である貨幣が我々の生活に対して強烈に拘束力をもつのか、その性質はどのようなものなのか。ゲーテの『親和力』、アンドレ・ジッドの『贋金づくり』といった小説にも入り込みながら、立体的に探求しています。

著者の視点に寄り添いながら、なるべくわかりやすい話になるように努めます。

その他貨幣に関する本をいくつか持っていきますので、時間の許す限り「お金」について語りましょう。

【概要】
日 時:11/22(金)19:30-21:30
場 所:国立本店
入場料:無料
内 容:本をめぐるお話
参加方法:FACEBOOKイベントページの参加ボタンを押す。
このページの下の国立本店のWEBページ入力フォームから
【今後のラインナップ】
2019年12月 山口昌男
2020年1月 見田宗介(宮沢賢治について)
2020年2月 テーマ:メディアと記号
2020年3月 鶴見和子
2020年4月 多田富雄
2020年5月 テーマ:民藝
2020年6月 宮本常一
2020年7月 テーマ:書物

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