2019.03.03

3/15 ブックトークイベント 国立夜読 第15回

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【ブックガイド部とは】
ブックガイド部は「読書の文脈づくり」をテーマしています。
本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。
それは人も同じ。
独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。

過去の本と今の本
過去の人と今の人
過去のテーマと今のテーマを
ブックガイドという形でつなげていくことが
われわれの活動の目的です。
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読書範囲の広い国立本店メンバーの二人が様々な本を紹介していきます。
一冊の本から付随していつかの本を紹介するというスタイルです。

少人数でやっているので参加者の質問も大歓迎です。
テーマはややハードですが参加者からの反応を中心にして話を広げているので全くわからないということはないはず。

読書が重たいと感じやすくなってきた世の中で、一人では到達しがたい読書世界を案内できればと思っています。

【テーマについて】
今回のテーマは渡辺京二さんと石牟礼道子さんです。
2018年に石牟礼さんが亡くなれてから、石牟礼さんを取り上げられることが多くなりました。個人的に、それはいい面もあるけれど、戸惑うことも多いように感じます。

有名になった『苦海浄土』だけでなく、小説も、短歌や詩であっても、石牟礼さんの文章はどこかずっしり重いものがあります。
石牟礼さんは他の作家と比べて特異なところは、現実的なことを書いているようでどこかこの世ではないものとつながっているようなところではないかと思います。石牟礼さんはそれを自然に作品していて、作品になってみると、作られた世界観に今の世の中に対する普遍的なメッセージを感じ取ってしまう。そんな力があります。

渡辺京二さんは石牟礼さんよりは知られていませんが、学者ではない歴史家、思想史家です。
渡辺さんは石牟礼さんが『苦海浄土』をまとめるときから、石牟礼さんのサポータとして寄り添っていた方です。石牟礼さんが体調を崩されて以降は生活のサポートも渡辺さんの役目になり、出かけるときのつきそいや、昼夜の食事づくりなど、長い時間をともにしてきたお二人です。

渡辺さんの代表作として挙げられる『逝きし世の面影』という本は、江戸期の人々の生活を外国人が残した記録を参照しながら眺めていくというものでした。渡辺さんは昔の人々に自律的な生活があって、自分たちの世界を確かに生きていることを示しました。それを、完全に失われて戻りようもない現在から見つめるということ方法をとったと言えます。このようなまなざしは渡辺さんが石牟礼さんを見るまなざしと共通するものがあります。

国立夜読は誰かの目線を借りるというコンセプトで本を紹介しています。個人的な感覚ではありますが、渡辺京二さんが石牟礼さんを見つめるまなざしになによりも共感を感じたこともあり、渡辺京二さんが語る石牟礼道子さんを紹介したいと思います。

渡辺さんは石牟礼さんのことを「この世の寄る辺なさにグズり泣きしている幼女」と表現し、石牟礼さんが亡くなったあとに以下のような文章を書いています。

“しかし、そういう大変な使命を担った詩人だからこそ、お手伝いに意義を感じたのだと言えば、もうひとつ本当ではありません。私は故人のうちに、この世に生まれてイヤだ、さびしいとグズり泣きしている女の子、あまりに強烈な自我に恵まれたゆえに、常にまわりと葛藤せざるをえない女の子を認め、カワイソウニとずっと思っておりました。カワイソウニと思えばこそ、庇ってあげたかったのでした。”(『予言の哀しみ 石牟礼道子の宇宙Ⅱ』)

石牟礼さんに作品に向き合うのはなかなか大変です。それでも渡辺京二さんが石牟礼さんを見つめるまなざしは優しさに溢れていて、そこを知ってもらえるだけでも、読書の世界は広がるはずです。

渡辺京二さんの『もうひとつのこの世』『予言の哀しみ』を中心に話したいと思います。
【概要】
日 時:3/15(金)19:30-21:30
場 所:国立本店
入場料:無料
内 容:本をめぐるお話
参加方法:FACEBOOKイベントページの参加ボタンを押す。
このページの下の国立本店のWEBページ入力フォームから

【今後の予定】
・加藤周一
・河合隼雄
・網野善彦
・書物論
・振り返り

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