2019.03.24

4/19 ブックトークイベント 国立夜読 第16回

【名前は知ってるけど読んだことがない、くらいの人が対象のイベントです】

16回加藤周一_03~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【ブックガイド部とは】
ブックガイド部は「読書の文脈づくり」をテーマしています。
本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。
それは人も同じ。
独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。

過去の本と今の本
過去の人と今の人
過去のテーマと今のテーマを
ブックガイドという形でつなげていくことが
われわれの活動の目的です。
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読書範囲の広い国立本店メンバーの二人が様々な本を紹介していきます。
一冊の本から付随していつかの本を紹介するというスタイルです。

少人数でやっているので参加者の質問も大歓迎です。
テーマはややハードですが参加者からの反応を中心にして話を広げているので全くわからないということはないはず。

読書が重たいと感じやすくなってきた世の中で、一人では到達しがたい読書世界を案内できればと思っています。
【テーマについて】
今回取り上げるのは加藤周一さんです。
加藤さんは1919年生まれの作家で、戦後日本を代表する知識人と呼ばれることも多い人です。
加藤さんがそう呼ばれるのは、戦後「民主主義の理念」を掲げた作家の一人であったこともありますが、科学から文学、内外の政治情勢に精通し、ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語を話し、海外の大学で授業をすることも多くあったということも大きな要因として挙げられるでしょう。戦中の1943年に東京帝国大学医学部を卒業した加藤さんは血液学で博士号を持つ医学博士でもあります。古今東西の芸術に詳しく、加藤さんほど「知識人」という言葉を、否定的な意味を込めずに使われる人は珍しいと思えるほどです。
終戦後に加藤さんは、広島の被爆の実態調査に加わるなど、医学者としての活動もしながら、文学や評論の活動を同時に活発に文章を発表するようになりました。戦後すぐに発表された文章は、戦争を経験を踏まえた日本文化論も多く、一貫して戦争を経験した日本人として、日本文化を考え続けたといえます。

執筆に対する貪欲さと、それに裏打ちされた膨大な執筆量、それが加藤さんの作家としての特徴です。そしてその文章は明晰かつ美しい文体で書かれました。代表作の一つである『羊の歌』は、加藤さんが自身の半生を綴った本です。時代の流れの中で加藤さんが出会ったできごとと、抑制的に織り込まれた感情の表現は読む人を引き込む力があります。終戦の知らせを受けたところで終わる本書の最後の章には「もし生きるよろこびがあるとすれば、これからそれを知るだろう。私は歌いだしたかった。」と書かれています。その後の執筆意欲と、執筆内容が生まれた状況を説明するような一節です。

加藤さんは、上の世代にはよく知られていますが、ある一定より若い世代になると、加藤周一さんという人がどんな人なのか、全く知らないという人が多いように感じています。個人的にこれは、加藤さんがその膨大な知識を持っていたという面を除けば、神格化される余地の非常に小さい人間だったからだではないかと考えています。加藤さんのとても明晰な文章を残しています。それは加藤さんが明晰な頭脳を持っていたということもありますが、それだけではなく、明晰に書くことについて強いこだわりを持っていたことが様々な文章の端々で語られています。それは曖昧な表現によってもたらされる分断された対立を避け、開かれた議論をすることを強く望んでいたがための選択だったと言えるでしょう。であるがゆえに加藤周一は今読まれるといい作家だと感じています。

今回は加藤さんの代表作の一つである『日本文学史序説』(ちくま学芸文庫・上下巻)を中心に紹介します。この本は万葉集の時代から、戦後までそれぞれの時代の文学を取り上げて、その特徴を解説した本です。
加藤さんは他の著作で、日本に特有の傾向について、様々なことが隠されることによって神格化され、それゆえに終わりのない党派対立が起こるというような分析をしています。本書では客観的に開かれたところまで説明することで、コミュニケーションを可能としようとする意志が感じられます。閉じた日本を拒否し、海外の文学と比較可能になる程度にその特徴を明確化しようとしました。その意志に沿うように、本書は多くの言語に翻訳されています。
この試みは文学だけではなく、政治や日常のコミニケーションとも関わりのあることです。文学はそれぞれの時代の状況の反映であると考え、過去から現在に向かって、その系譜を開かれたものとして描いた、そのことが感じられるような紹介としたいと思います。
【概要】
日 時:4/19(金)19:30-21:30
場 所:国立本店
入場料:無料
内 容:本をめぐるお話
参加方法:FACEBOOKイベントページの参加ボタンを押す。
このページの下の国立本店のWEBページ入力フォームから

【今後の予定】
・河合隼雄
・網野善彦
・書物論
・振り返り

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