2021.02.21

【徒然本店】人が”滞留”することの面白さ

新連載「徒然本店」は、国立本店を運営するほんとまち編集室のメンバーがそれぞれの日常を綴るエッセイです。

国立本店メンバー、中西です。
国立本店は「ほんとまち編集室」のメンバーが運営しています。「ほんとまち編集室」は1年区切りで活動していて、 この記事を書いている現在が9期、私は5期の終わりから参加しているので今のメンバーの中では、私は割と長くメンバーとして活動としているほうです。

国立本店という場所の面白さ

「国立夜読」の風景。解説しながら参加者とお話するスタイル。

国立本店は不思議な自由な場所です。押し付けがましくないのがいいところ。人が集まるところというのは、お店でも集会所でも国立本店のようなオープンスペースでも、出ていく人もいれば入ってくる人もいて、そしてある一定期間滞在する人たちがいます。流動的ではありつつ、時間的な蓄積が、見えるところや見えないところに存在しています。時間も人も流れていくなかで、ちょっとした滞留が起こって、ちょっとした面白い偶然が起こっていく、それが国立本店の面白さのひとつです。滞留している人たちには、自分ではよくわかってないかもしれないけれど、何かしら残る理由があるわけで、目には見えないけれど、そのことが国立本店全体の、あるいはその期の「ほんとまち編集室」の”味”のようなものを決めているのだと思います。私が国立本店の残っている理由には、その滞留した部分から偶然に生まれてくる”味”を面白がっているということがあるのかもしれません。

イベントも一つの場所

リアルイベントでは実際に本を手にとってもらってます。

国立本店での私の主たる活動は月1回の「国立夜読」というイベントです。国立夜読はブックトーク、本を紹介するイベントです。イベントが始まったころはテーマに合わせて何冊もの本を紹介していましたが、最近は一冊に絞って内容を紹介しながら関連書を紹介するというスタイルになってきました。割と難しめな本を取り上げることが多いので、ちょっと解説的な話をして、あとは参加者で自由に話します。ちょっとした雑談的な広がりから、多種多様な本の紹介につなげていく、そんな形を大事にしています。このやり方は主催者だけでは難しく、常連さんの存在が重要となっています。だからといって常連さんだけではだめで新しい人も大事。国立夜読はもう4年目なので時間をかけてうまいバランスが取れてきたように思えます。面白いのは国立本店と同じく、続けていくとそこに集まってる人で生まれくる人の集まりの”味”のようなものが生まれていること。そして国立夜読で生まれている”味”は、国立本店で生まれてくる”味”とどこか重なるところもあるかもしれないけれど、やっぱり違う。開かれた場所だから、人の集まり方も多種多様。そんな面白さをいつも感じながら本を紹介しています。

text by RYOSUKE NAKANISHI
中西 良輔
普段は理系の会社員。国立本店ではブックガイド・イベント「国立夜読」を開催しています。
国立夜読は「読書の文脈づくり」をテーマしています。本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。それは人も同じ。独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。
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