2020.12.05

12/25 ブックトークイベント 国立夜読 第31回 オンライン

※ZOOMを使用するオンラインイベントです ※
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【ブックガイド部とは】
ブックガイド部は「読書の文脈づくり」をテーマしています。
本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。
それは人も同じ。
独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。
過去の本と今の本
過去の人と今の人
過去のテーマと今のテーマを
ブックガイドという形でつなげていくことが
われわれの活動の目的です。
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今回取り上げるのは民俗学者、南方熊楠です。

南方熊楠は多くの人々が論じてきた異能の人ですが、今回は鶴見和子さんが書いた『南方熊楠』を土台に話します。

鶴見和子さんは1918年生まれの日本の社会学者、戦前にアメリカの大学へ留学したものの、戦時中の混乱で帰国、戦後プリンストン大学社会学博士号を取得。日本だけではなくカナダ・アメリカの大学でも講義をしていました。西洋の学問的方法を十分に理解していた鶴見さんは、日本の独自性を比較社会学という枠組みで分析していきました。

鶴見さんの特徴は西洋の国とそれ以外の国の発展の仕方の違いを分析した点にあります。先進国の近代化を内発的、それ以降の発展は、先進国の方法を受け容れることで発展する、という考え方では日本を含めたアジアの発展を論じることはできない、というのが鶴見さんの議論の特徴です。

鶴見さんは経済的の発展が中央の国家組織だけではなく、市民社会においても過去の文化と接続しながら進んでいるとことを示しました。この議論は内発的発展論としてまとめられ、その後現在に至るまで様々な広がりを見せています。鶴見さんは西洋の発展に対して、日本が後発的に発展しているのではなく、独自の発展を進めていたことを、 明治時代の思想家である南方熊楠や柳田国男の研究を通じて明らかにしていきました。日本が近代国家として変化していく時期に、南方熊楠や柳田国男は欧米を模範とする近代化ではなく,日本の伝統的な思想を多様に発展させていこうとしていました。これが鶴見さんが内発的発展論を展開させることの土台の一つとなっています。

内発的発展論はは発展する都市に対して遅れた農村、という考え方に対する批判にもなっています。近代国家成立以降の都市的な発展が、唯一の発展の方向性と考えるのではなく、独自で多様な発展の仕方が存在するはずであるという見方です。南方熊楠はこの議論を日本で先駆的に行った人物といえるでしょう。西洋的な知に学びつつ、和歌山県・熊野の森と人とのつながりを実感し、神社合祀令による森林伐採に反対した運動家としての南方熊楠は注目すべき存在として、今でも多くの人が論じています。

南方熊楠は多くの分野で業績を残しながら生涯を在野で過ごした稀有な存在です。語学に堪能でイギリス滞在時には多くの西洋的な知識を独学し、当時のイギリスの学者たちと対話しながら『ネイチャー』、『ノーツ・アンド・クエリーズ』といった論文誌に多くの論文を掲載しています。南方熊楠は民俗学者とみなされることが多いですが、菌類の研究で多くの新種を発見するなど学問的業績でいえばその範囲におさまりません。南方熊楠には深いエコロジー思想があり、それは西洋的なエコロジー思想とは異なる論じ方ではありながら、東洋的なローカリズムにとどまらない普遍性をもったものでした。南方熊楠はこれらを幼少のころから慣れ親しんだ大乗仏教の思想から展開しているところが非常に興味深いところです。

主に鶴見和子さん著の『南方熊楠』一冊を中心に解説する予定です。
時間があればその他の南方熊楠に関する本もいろいろ紹介してみたいと思います。

【概要】
日 時:12/25(金)19:30-21:30
場 所:オンラインイベント(ZOOM)
(申込みがあった方に参加URLをお知らせします)
入場料:無料
内 容:本をめぐるお話
参加方法: ページ下の力フォームから

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