2020.01.06

1/24 ブックトークイベント 国立夜読 第24回

アイキャッチ_見田宗介_HP

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【ブックガイド部とは】
ブックガイド部は「読書の文脈づくり」をテーマしています。
本は一冊、一冊独立して存在していますが、見えない所でつながっています。
それは人も同じ。
独立して存在するものが交わるときにあらたな文脈が生まれてくるはず。

過去の本と今の本
過去の人と今の人
過去のテーマと今のテーマを
ブックガイドという形でつなげていくことが
われわれの活動の目的です。
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国立本店メンバーの二人が月に一度、様々な本を紹介しています。

今回の夜読は童話作家、詩人で知られる宮沢賢治を取り上げます。

日本以外にも研究対象として取り上げられるくらい広い範囲に影響力を持つ宮沢賢治。
教科書などでも取り上げられていたこともあってか、今も昔も、多くの作家やアーティストがその作品を愛読書として上げてきました。
はっきりとはわからないメッセージに溢れた詩や童話は、謎を生み、いろいろな捉え方を生み出している面もありますが、時代を超えた普遍的なテーマを感じさせるのも宮沢賢治作品の大きな魅力です。
今回は、宮沢賢治が生きた時代と人生、残した作品をつなげて見えてくるものを一冊の本から見てみます。

取り上げるのは見田宗介『宮沢賢治-存在の祭りの中へ』という本。
見田宗介は社会学に詳しくない方にはあまり知られていないかもしれませんが、日本を代表する社会学者です。
見田宗介の文章で一般に知らているものはいくつかありますが、どれもテーマが学問の領域を超えた個としての人間の実存を扱ったものです。特に真木悠介という筆名で書かれた『気流の鳴る音』ではメキシコ北部に住む原住民であるヤキ族の老人ドン・ファンとアメリカの人類学者、カルロス・カスタネダのやり取りを巡って、知識ではなく知恵の領域での探求について書かれています。理解することにこだわってしまう人類学者を「明晰さの罠」から開放していく老人ドン・ファンの言葉には魔力のような力が感じられます。

『宮沢賢治-存在の祭りの中へ』という本は『気流のなる音』に近いテーマを扱った本と言えます。宮沢賢治も内面において明晰さにこだわりながら、そこから開放されていったプロセスを生きた人だった、見田さんは本書そのように賢治の一連の作品を読み解いています。賢治が作品の中に見られる「なにごとの不思議もないできごとのひとつひとつを、あたらしく不思議なものとして感受しつづける力」が,あらゆる人やものが存在することを,新鮮な奇跡として受け入れる方法として捉え,見田さんはこれを「存在の祭り」と表現しました。宮沢賢治にはそこに至るまでの様々な葛藤があったことも,本書では興味深く示されています。

見田宗介という社会学者は社会で起こっていることに対して明晰な分析をする一方、奥そこでは非常に文学的なテーマを扱っていて、どんなときにもその文学性を離すことがなかった稀有な存在です。この点は彼の生徒だった大澤真幸、宮台真司といった次の世代の社会学者・書き手に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

『銀河鉄道の夜』などの童話や詩など,作品の引用が多い本なので、時間の許す限り、宮沢賢治の文章を読み上げながら進めようと思っています。その上で宮沢賢治が持っていた感性の秘密を,見田宗介の目を借りて一緒に探っていきます。
【概要】
日 時:1/24(金)19:30-21:30
場 所:国立本店
入場料:無料
内 容:本をめぐるお話
参加方法:FACEBOOKイベントページの参加ボタンを押す。
このページの下の国立本店のWEBページ入力フォームから

【今後のラインナップ】
2020年2月 テーマ:メディアと記号
2020年3月 鶴見和子
2020年4月 多田富雄
2020年5月 テーマ:民藝
2020年6月 宮本常一
2020年7月 テーマ:書物

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