2017.11.08

【イベント報告】11/2 ブックトークイベント 国立夜読

ブックガイドweb用2-01

実験的に始まった国立本店ブックガイド部の活動ですが、11/2には初めてブックトークイベントを行いました。
テーマとして取り上げた「社会学者・見田宗介」は、一般的に知名度は高くないのにも関わらず、読書家の方々から申し込みがあり(5名申込、3名参加)、内容の濃いイベントになりました。初めは内輪な会になるかもと思っていたのですが、主催以外は、告知した内容に関心を持って来て頂いた方ばかりで思わぬ刺激を受けました。

告知ページ選書ページ

booklist  (ダウンロードリンク)

選書の方向性

ブックガイド部では、一般的に読むことの難しいとされる、いわゆる「人文科学」と呼ばれる領域の本を多めに扱う予定です。ハードな内容の本が売れない、読まれないという中で、国立本店というコミュニティ・スペースでそのような難しい本を取り上げようと思ったのは、ハードな読書体験が、入り口は狭いけれど、中に入ると豊かな世界を持っていると感じるからです。商業的なことを考えると入り口を狭くすることはなかなか困難です。国立本店でひとまず、そこを考えずに活動することができるので、どうせなら実験的にやってみようと考えたのがブックガイド部をやろうと考えた動機です。SNS全盛の社会においてはお金をもらわないイベントでも入り口を狭くすることが「悪」であるかのような感覚を持ちがちですが、その点について壁を破りたいという気持ちもあります。

そういった思いがある一方、読書家が集まって、大量の本がある空間で、本を巡ってとりとめもない話をすることが楽しいからやるという単純な動機もあります。
そのような空間は、読書にあまり興味がない人でも、心地よい場になる可能性はあると私は考えています。今後の読書体験において、そのようなサロン的な要素が結構重要かも、と思ったりもします。

テーマの選択「社会学者 見田宗介」

今回のイベントでは、なぜ見田宗介なのかの説明がほとんどなかったことで、参加を躊躇する方もいらっしゃったかもしれません。実をいうと個人的に参加した読書会で数度、見田宗介の本を取り上げていたからというのが理由の一つだったりします。
見田宗介のテーマの一つである、「自我と他者」、あるいは、「自我と共同性」の観点で社会を見ることは、思想的な議論に慣れてない人でもすんなり入っていけるという直感と実感もありました。特にメキシコのインディアンを扱った『気流の鳴る音』という本は、様々なバックグラウンドの人が「影響を受けた」、と話しているのを見ていたのも大きかったです。見田宗介の本を読むことは、普段の生活では考えないことを考えるきっかけになります。

イベント内容

イベントでは事前に挙げておいた26冊の本の6〜7割程度について、内容紹介を行いました(一部触れるだけになりましたが)。要約は困難なので避けますが、『自我の起源』のテーマである、「個の存在の必然性」を巡る議論から、資本主義、コミュニティの問題までを繋げて話をしました。見田宗介は、「近代的な自我」を持ったがゆえに、本来「共同的な存在」である人間が、エゴイズムに陥ってしまう問題を様々な観点から分析し、なんとかそれを超えていく道筋を示します。
印象的だったのは「攻殻機動隊」というアニメの話題を参加者からできてからの会話でした。「スタンド・アローン・コンプレックス」という名がつけられたシリーズは今回話したことと非常につながりがあります。攻殻機動隊は多くの人間が電脳化されている世界を描いたSF作品であり、このシリーズでは、ある企業を狙った連続テロをきっかけに模倣犯による犯行の広がりを描いた作品です。ネットにある情報と昔みた記憶から私なりにまとめると、誰にでも簡単に情報が得られる状況下において「自我」が「オリジナルなきコピー」になっていくという感覚、あるいは、個として存在しようとしながらも、それゆえに没個性化する人間がテーマでした。誰にでも簡単に情報が得られる状況で、「自我」が「オリジナルなきコピー」のようになっていくという感覚、どこかで続きの話ができれば面白いです。

1102イベント2

今後

今回のイベントでは次のような指摘を頂きました。

  • 内容は面白かったけれど、取り上げる本が多すぎる。もう少し取り上げる本を減らした方がいいのでは。
  • 事前にどんなことをやるのかわからなかったので、もう少しどんなことをやるのかわかっていた方が良いかも。
  • 全○回構成という形にして、全体を構成し、最終的に電子書籍化する、本を作ると面白そう。
  • イベント中に即興的に出てくる会話がすごく面白かったので、内容を可視化するような試みがあると良い。

ブックガイド部の活動は、全体の構成を考えて複数回のイベントをやり、最終的にはなんらかの形でまとめて行こうという考えで始まりましった。第0回である今回のイベントでの意見を参考に、全体構成を考えてみる予定です。イベントの内容についても、より良いものにしていきます。興味を持った方はぜひ一度イベントにお越しください。お待ちしています。

Share on FacebookTweet about this on Twitter