2017.03.15

【今月の10冊】3月:春の本

は、ハックション!し、失礼しました。花粉症でございまして……。このコーナーでは、国立本店のメンバーが毎月、テーマに沿っておすすめの本を紹介します。今月のテーマは「春の本」。秋は読書の季節なんて言いますが、春も読書にはぴったりの季節。ぽかぽか陽気の中、木の下で読書なんて最高の贅沢です。本を読みながらうとうと、そのまま寝ちゃったりなんかして。お散歩ついで、そっと文庫本をポケットに。いかがでしょうか。(タイトル50音順)


「不良たちの春は、青い。」

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「青い春」/松本大洋・著

”もし取り返しのつかない一球があるとして・・・それを取り返すことが・・・できるかな。”

松田龍平主演で映画化もされた、松本大洋の短編集です。優等生は出てきません。ピストルを拾った不良、ヤクザに誘われる不良、部室で麻雀に明け暮れる不良など、それぞれの青い春を過ごす不良たちの漫画です。
恐ろしいほど純粋で、それゆえ危なっかしい不良たちの青。俺は不良じゃないから、という人もきっとこの青を知っていると思います。ほろ苦いなんてもんじゃない、思わず吐きたくなるほど強烈で激しい青。何かになりたくて、でも何になりたいのかも分からないまま、とにかく一日一日を何とかやり過ごして、悶えるほど何かにイラついていた、カオスで無気力で取り返しのつかない日々たちの青。

不良なんて嫌いだよ、という人にこそ読んでほしい、最良の不良入門書です。(くろ)

「始まりはいつも苦い。不安と恐れが混じっているから。」

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「きもの」/幸田文・著

春といえば衣替えです。なので幸田文さんの「きもの」を選んでみました。

母に新調してもらった着物が気に入らず、主人公のるつ子が片袖を引きちぎってしまい、それをまんなかにして祖母と母とるつ子が三角形に座っている所から物語は始まります。
季節が変わっていく中で、人の営みのあわただしさと緊張感が、そのまま読者の目の前に一気に映像として立ち現れる、出だしの一文です。それがなぜか私には春を想起させるのでした。

一方的な思い込みなのですが、幸田文さんの文章には三寒四温の空気感があるような気がします。どのような厳しい事実を描写していても、行間にじわりと染みだす雪解け水の匂いの様なものがあるような気がしてなりません。
着物の生活から離れてしまった今、立ち居振る舞いも価値観もぴんとは来ないかもしれませんが、是非一度手に取って熟読していただきたい小説です。

「春が二階から落ちてきた。」

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「重力ピエロ」 /伊坂幸太郎・著

仙台市内において連続放火事件が起き、現場の近くには必ずグラフィティアートが残される。遺伝子の研究をしている主人公は事件に興味をもち、清掃業をしている弟とともにその真相に迫る。

果たして人の人格や家族の絆は遺伝子によって決まるのか、というテーマのもと紡ぎ出される本書は、間違いなく伊坂幸太郎の代表作のひとつと言えます。映画化もされており、普段ミステリーを読まないという方にもオススメしたい一冊です。(八木)

「春の来ない冬はない」

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「プラハの春」/春江一也・著
1968年、チェコスロバキア・プラハ。

当時のプラハは、社会主義・共産党体制のもとで進められてきた計画経済が停滞し、先行きが見えない閉塞感がまん延していました。そんな中、知識人たちは民主化と自由化を望む声をあげ、革命・プラハの春が生まれます。
春には、弾圧された暗い時代を打ち破り、明るい未来がやってくることを示す意味が含まれているそうです。

物語は、主人公の日本人外交官と、反体制活動家の女性の恋が描かれていますが、ダイナミックな歴史的うねりの中で二人が翻弄されていくさまが、春に向かって躍動する空気感と相まって、読む人をぐいぐい1968年へと引き込んでくれることでしょう。

恋の行方は本にまかせるとして、2017年、みなさんはどんな春を起こしますか?(R)

「愛せよ。人生において、よきものはそれだけである。」

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「本日は、お日柄もよく」/原田マハ・著

春は、なにかを始めたくなったり、心機一転、気持ちを新たにする季節。そんな季節に、この本は、未来に向かって背中を押してくれます。

普通のOLだった主人公が、ある結婚披露宴で出会ったスピーチライターの祝辞に感銘を受け、彼女の弟子入りをします。友人の結婚披露宴でスピーチをしたり、野党のスピーチを書いたり。そんな中で出会う様々な人たちとの出会いや数々の言葉から、主人公は、自分の人生を作っていく…。そんなお話です。

物語の中の一つ一つのストーリーに、言葉の繊細さと力強さの両方が宿っていて、読みながら何度も胸の中が熱くなります。この本を読んだ後に見る世界は、いつもより明るく見える気がする、そんな前向きな気持になれる本です!春のお供に、ぜひ!(ゆきむし)

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