2016.07.15

【今月の10冊】7月:夏の冒険(チャレンジ)!

「国立本店」の運営メンバーたちが、月替わりのテーマに合わせて選んだ一冊をおすすめするこのコーナー。長い梅雨がもうすぐ明けて、本格的な夏到来! そんな7月のテーマは「夏の冒険(チャレンジ)!」。冒険に出たくなるような心浮き立たせる本、チャレンジの記録、新しいことに挑戦したくなる本…心身ともにアクティブになる夏にふさわしい本を揃えました。この夏ぜひ、本を読むことで”心の冒険”に出かけてください!(タイトル50音順)
 


 

「この夏、ヒヤヒヤの大冒険に巻き込まれてみないか!」

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「上と外」上・下/恩田陸
夏休みに家族で南米に出かけた中学生と小学生の兄妹がくり広げる大冒険。両親が離婚直前とか、クーデターに巻き込まれるとかリアルな設定ながら、ジャングルで死と隣り合わせで生き抜く兄妹のタフさがかなりファンタジー? でも読み始めたら止まらない止められない。分厚い上・下巻ぶっ通しでハマること間違いなし! そして読んでいる間中は、ずっと蒸し暑くジャングルにいるようだったので、是非涼しい高原か冷やしたお部屋でお読みください。
 
 

「チャレンジしようと思えばどこでもできるかも、多分やらないけど。」

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「渋谷道」Beretta P-05
「渋谷区の全番地を撮影するというのは荒っぽい題材だ。」で始まる、本当に荒っぽい写真集。街区表示板(電柱などに貼られている住所表記の書かれたアレ)を120名の写真家が手分けしてひたすら撮影し、掲載している。律儀に正面から街区表示板を撮影し続けている人もいれば、景色の一部として撮影している人もあり。人物で隠れてしまい、主従が曖昧になってしまっている写真もあり。撮影スタイルが徹底的に統制されていない様が、面白い。街区表示板っていっぱいあるのだなーと感心しながら眺めていくうちに、ふと思う。なんで街区表示板なんだろう。あるはずのない目的を見失って途方に暮れていそうな写真がちらほら見受けられるのもまた、面白い。
 
 

「「描くこと」そのものが冒険だった!」

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「少年の名はジルベール」竹宮惠子
昭和24年前後に生まれ、少女たちのみならず成人男性をも虜にする文学性・エンターテインメント性の高い作品を生み出した少女漫画家たち、「24年組」。この本はその24年組の代表的な存在である著者が青春時代を中心に綴った自伝です。著者の代表作である「風と木の詩」は少年愛ジャンルの先駆けとされ、少年が持つ輝きの儚さ、人と人との心のふれあい、愛の本質とは何か?といった普遍的なテーマまでも描き切った名作なのですが、その連載を勝ち取るまでの道のりが本当にチャレンジとしか言いようのない苦難の連続なのです…! 今でこそボーイズラブと呼ばれる少年愛をテーマにした作品は一大ジャンルとなりましたが、著者が上記作品を構想しだした1970年代当時、少年愛はまだまだタブーとされていました。実際に著者が連載を開始するまでの期間は、実に7年! 漫画家としての実力をつけ、人気を得て、編集者を説き伏せてゆく過程は、さながら未開の地を切り開く冒険のよう。そのアツい”冒険”に、読めば胸がアツくなること請け合いです。
 
 

「温度と湿度があってこそ生まれる漆の世界にようこそ。」

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「青春うるはし!うるし部」堀道弘
梅雨に入ったころ、本物の漆を使う金継を教えてくれるところを探しました。本物の漆を使ったものでないと、食器として使うことが難しくなるのだそうです。過去にひどい漆かぶれを経験したことのある私にとってこれは、大変なチャレンジでした。でも、家には皿の数がもうない。背と腹は表裏…あ、ちがうちがう。そんなこんなで見つけた教室の先生が堀道弘さん、この本の作者です。堀さんは漆器で名高い輪島で13年の間、漆職人として働いていらっしゃった方で、この漫画には漆器を制作する工程や漆工芸の蘊蓄などが細かく丁寧に説明されています。ギャグマンガですが、侮れません。
 
 

「必要最低限のものだけを持って軽やかに旅したい!」

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「大草原の小さな家」ローラ・インガルス・ワイルダー
ローラの一家は、ある日、小さな家のものをぜんぶ馬車につんで、大きな森をあとにします。新しい土地でくらしてみる決心をし、目ざすのは、アメリカ西部の大草原、インディアンの国。大草原に新しい家を一から作っていくワクワク感ももちろん、馬車に必要最低限の家財を積んで、一家で移動しながら新しい土地を探す旅へのワクワク感は、秘密基地やキャンピングカーに憧れていた子ども時代にかなり冒険心をくすぐられました。当時はわからなかった、アメリカの開拓者とインディアンとの問題なども書かれているとのこと。アメリカの開拓の歴史なども知ることができ、大人も子どもも楽しめる一冊だと思います。
 
 

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